しかし、今では神を知っているのに、否、むしろ神に知られているのに、どうして、あの無力で貧弱な、もろもろの霊力に逆もどりして、またもや、新たにその奴隷になろうとするのか。
4:12兄弟たちよ。お願いする。どうか、わたしのようになってほしい。わたしも、あなたがたのようになったのだから。あなたがたは、一度もわたしに対して不都合なことをしたことはない。
4:13あなたがたも知っているとおり、最初わたしがあなたがたに福音を伝えたのは、わたしの肉体が弱っていたためであった。
4:14そして、わたしの肉体にはあなたがたにとって試錬となるものがあったのに、それを卑しめもせず、またきらいもせず、かえってわたしを、神の使かキリスト・イエスかでもあるように、迎えてくれた。
4:15その時のあなたがたの感激は、今どこにあるのか。はっきり言うが、あなたがたは、できることなら、自分の目をえぐり出してでも、わたしにくれたかったのだ。
4:16それだのに、真理を語ったために、わたしはあなたがたの敵になったのか。
4:17彼らがあなたがたに対して熱心なのは、善意からではない。むしろ、自分らに熱心にならせるために、あなたがたをわたしから引き離そうとしているのである。
4:18わたしがあなたがたの所にいる時だけでなく、いつも、良いことについて熱心に慕われるのは、良いことである。
4:19ああ、わたしの幼な子たちよ。あなたがたの内にキリストの形ができるまでは、わたしは、またもや、あなたがたのために産みの苦しみをする。
4:20できることなら、わたしは今あなたがたの所にいて、語調を変えて話してみたい。わたしは、あなたがたのことで、途方にくれている。
4:21律法の下にとどまっていたいと思う人たちよ。わたしに答えなさい。あなたがたは律法の言うところを聞かないのか。
4:22そのしるすところによると、アブラハムにふたりの子があったが、ひとりは女奴隷から、ひとりは自由の女から生れた。
4:23女奴隷の子は肉によって生れたのであり、自由の女の子は約束によって生れたのであった。
4:24さて、この物語は比喩としてみられる。すなわち、この女たちは二つの契約をさす。そのひとりはシナイ山から出て、奴隷となる者を産む。ハガルがそれである。
4:25ハガルといえば、アラビヤではシナイ山のことで、今のエルサレムに当る。なぜなら、それは子たちと共に、奴隷となっているからである。
4:26しかし、上なるエルサレムは、自由の女であって、わたしたちの母をさす。
4:27すなわち、こう書いてある、
「喜べ、不妊の女よ。
声をあげて喜べ、産みの苦しみを知らない女よ。
ひとり者となっている女は多くの子を産み、
その数は、夫ある女の子らよりも多い」。
4:28兄弟たちよ。あなたがたは、イサクのように、約束の子である。
4:29しかし、その当時、肉によって生れた者が、霊によって生れた者を迫害したように、今でも同様である。
4:30しかし、聖書はなんと言っているか。「女奴隷とその子とを追い出せ。女奴隷の子は、自由の女の子と共に相続をしてはならない」とある。
4:31だから、兄弟たちよ。わたしたちは女奴隷の子ではなく、自由の女の子なのである。
5:1自由を得させるために、キリストはわたしたちを解放して下さったのである。だから、堅く立って、二度と奴隷のくびきにつながれてはならない。
5:2見よ、このパウロがあなたがたに言う。もし割礼を受けるなら、キリストはあなたがたに用のないものになろう。
5:3割礼を受けようとするすべての人たちに、もう一度言っておく。そういう人たちは、律法の全部を行う義務がある。
5:4律法によって義とされようとするあなたがたは、キリストから離れてしまっている。恵みから落ちている。
5:5わたしたちは、御霊の助けにより、信仰によって義とされる望みを強くいだいている。
5:6キリスト・イエスにあっては、割礼があってもなくても、問題ではない。尊いのは、愛によって働く信仰だけである。
5:7あなたがたはよく走り続けてきたのに、だれが邪魔をして、真理にそむかせたのか。
5:8そのような勧誘は、あなたがたを召されたかたから出たものではない。
5:9少しのパン種でも、粉のかたまり全体をふくらませる。
5:10あなたがたはいささかもわたしと違った思いをいだくことはないと、主にあって信頼している。しかし、あなたがたを動揺させている者は、それがだれであろうと、さばきを受けるであろう。
5:11兄弟たちよ。わたしがもし今でも割礼を宣べ伝えていたら、どうして、いまなお迫害されるはずがあろうか。そうしていたら、十字架のつまずきは、なくなっているであろう。
5:12あなたがたの煽動者どもは、自ら不具になるがよかろう。
5:13兄弟たちよ。あなたがたが召されたのは、実に、自由を得るためである。ただ、その自由を、肉の働く機会としないで、愛をもって互に仕えなさい。
5:14律法の全体は、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」というこの一句に尽きるからである。
5:15気をつけるがよい。もし互にかみ合い、食い合っているなら、あなたがたは互に滅ぼされてしまうだろう。
5:16わたしは命じる、御霊によって歩きなさい。そうすれば、決して肉の欲を満たすことはない。
5:17なぜなら、肉の欲するところは御霊に反し、また御霊の欲するところは肉に反するからである。こうして、二つのものは互に相さからい、その結果、あなたがたは自分でしようと思うことを、することができないようになる。
5:18もしあなたがたが御霊に導かれるなら、律法の下にはいない。
5:19肉の働きは明白である。すなわち、不品行、汚れ、好色、
5:20偶像礼拝、まじない、敵意、争い、そねみ、怒り、党派心、分裂、分派、
5:21ねたみ、泥酔、宴楽、および、そのたぐいである。わたしは以前も言ったように、今も前もって言っておく。このようなことを行う者は、神の国をつぐことがない。
5:22しかし、御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、
5:23柔和、自制であって、これらを否定する律法はない。
5:24キリスト・イエスに属する者は、自分の肉を、その情と欲と共に十字架につけてしまったのである。
5:25もしわたしたちが御霊によって生きるのなら、また御霊によって進もうではないか。
5:26互にいどみ合い、互にねたみ合って、虚栄に生きてはならない。
6:1兄弟たちよ。もしもある人が罪過に陥っていることがわかったなら、霊の人であるあなたがたは、柔和な心をもって、その人を正しなさい。それと同時に、もしか自分自身も誘惑に陥ることがありはしないかと、反省しなさい。
6:2互に重荷を負い合いなさい。そうすれば、あなたがたはキリストの律法を全うするであろう。
6:3もしある人が、事実そうでないのに、自分が何か偉い者であるように思っているとすれば、その人は自分を欺いているのである。
6:4ひとりびとり、自分の行いを検討してみるがよい。そうすれば、自分だけには誇ることができても、ほかの人には誇れなくなるであろう。
6:5人はそれぞれ、自分自身の重荷を負うべきである。
6:6御言を教えてもらう人は、教える人と、すべて良いものを分け合いなさい。
6:7まちがってはいけない、神は侮られるようなかたではない。人は自分のまいたものを、刈り取ることになる。
6:8すなわち、自分の肉にまく者は、肉から滅びを刈り取り、霊にまく者は、霊から永遠のいのちを刈り取るであろう。
6:9わたしたちは、善を行うことに、うみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。
6:10だから、機会のあるごとに、だれに対しても、とくに信仰の仲間に対して、善を行おうではないか。
6:11ごらんなさい。わたし自身いま筆をとって、こんなに大きい字で、あなたがたに書いていることを。
6:12いったい、肉において見えを飾ろうとする者たちは、キリスト・イエスの十字架のゆえに、迫害を受けたくないばかりに、あなたがたにしいて割礼を受けさせようとする。
6:13事実、割礼のあるもの自身が律法を守らず、ただ、あなたがたの肉について誇りたいために、割礼を受けさせようとしているのである。
6:14しかし、わたし自身には、わたしたちの主イエス・キリストの十字架以外に、誇とするものは、断じてあってはならない。この十字架につけられて、この世はわたしに対して死に、わたしもこの世に対して死んでしまったのである。
6:15割礼のあるなしは問題ではなく、ただ、新しく造られることこそ、重要なのである。
6:16この法則に従って進む人々の上に、平和とあわれみとがあるように。また、神のイスラエルの上にあるように。
6:17だれも今後は、わたしに煩いをかけないでほしい。わたしは、イエスの焼き印を身に帯びているのだから。
6:18兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように、アァメン。